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教育隊で職種はどのように決められるのか

教育隊での生活・訓練
着隊してすぐは裁縫だの、靴磨きだの、敬礼や気を付けなどの基本動作の訓練だの、とにかく慌ただしい毎日だと思います。

これまでとは一変した生活に慣れることに精一杯の時期だと思いますが、6月頃には職種が決まり、7月からは職種別の教育を受けるということはご存じでしょうか。(ちなみに私は息子から何も知らされていなかったため、修業式間近のお盆の帰省時に息子の職種を知り、修業式当日に配属先を知った情弱親でした。そのため、配属先が本人に知らされるのは修業式の前日くらいなのかとずっと思っていて、後から他の保護者に笑われました。)

ちなみに海上自衛隊の公式のホームページには、次のような表(PDF)が掲載されています。これを見れば一目瞭然なのですが、これがまた見つけにくくて(私だけかもしれませんが)、入隊前にこの表を見たことのある人はどれくらいいるのかと思いつつ、ご紹介させていただきたいと思います。


「職種はどのように決められるのか」
職種はどのように決められるのか表
引用元: 海上自衛隊の職種|海上自衛隊 〔JMSDF〕 オフィシャルサイト


おわかりでしょうか。

着隊直後に行われる一連の「適性検査」、入隊から約1か月後に行われる「身体検査」「英語能力検査(航空管制員選抜者のみ)」、そして日頃の教練の「成績」、本人の「希望」などを考慮して、入隊から約2か月後には職種が決まるということを。


わかりやすく大体の流れをまとめると以下のようになるようです。(春季入隊の場合)

3月末 着隊
4月 入隊、適性検査、要員別身体検査(航空士、潜水艦、航空管制など)
5月 部隊見学、希望調査、面接
6月 意思確認、職種決定
7月 職種別教育、勤務地(部隊)希望調査
8月 配属先決定、修業

※航空士とは
基本的に自衛官候補生か一般曹候補生として入隊した27歳未満の隊員から選抜される。航空機に搭乗して働くため航空身体検査の規定区分(操縦士よりやや緩い)に合格する必要があること、専門的な能力が要求されること、航空機に搭乗できることから人気があるが募集枠が少ないことから倍率は高い[1]。 海上自衛隊では航空部隊で地上勤務に就いた後に選抜を受け、一部は第3術科学校の航空士専修課程を修了した後、教育航空集団等の航空士課程を経て航空部隊に航空士として配属される。

引用:航空士 (自衛隊) - Wikipedia




ちなみに、希望調査は以下のように行われるようです。

「職種はどのように決められるのか」
職種はどのように決められるのか表3
引用元: 海上自衛隊の職種|海上自衛隊 〔JMSDF〕 オフィシャルサイト


「適性」と「希望」が合っても、特定の能力をもった人が集中しないよう「2 職種間の均衡化」という名目で調整が行われるようです。さらに「要員」に空きがなければ(少なければ)、成績の良い人から優先的に選ばれるようです。

ここでは希望調査では第3希望まで希望を聞かれるとなっていますが、息子の同期が配属されたのは「第4希望」の職種だったとか。その保護者によると、「本人もびっくりしたみたいだけど、今は楽しんでいるみたいよ」とのこと。本人の希望よりも適性が合っていたという1つの例かもしれませんね。

また、「3 特殊な職種」に「体育」とありますが、体力検定などで優秀な成績を収めた人は、配属後に体育学校で競技のトレーニングをすることもあるようです。やはり知り合いの息子さんは、水泳のタイムが良かったようで、配属された護衛艦がドッグ入りしている間、体育学校で水泳の訓練に明け暮れていたそうです。

ちなみにそのお子さんがどれくらいタイムがよかったかというと、全国大会レベルのタイムだったそうです。

自衛隊体育学校からはオリンピック選手も出ているので(もちろん、殆んどの方は学生時代に全国大会で入賞するなどの経歴があっての入隊だと思いますが)、「長所を伸ばす」という自衛隊の教育法は、スポーツ(競技)という面でも徹底しているのかもしれませんね。


職種を選ぶ時の注意事項として、次の注意事項が挙げられています。

  •  各職種の仕事内容を知り、どのような特色があるのかをよく考える。
  •  自分の能力や適性に合った職種を選ぶ。


たしかにその通りなのですが、適性検査の結果は本人には知らされないそうなので、班長とよく相談しろということなのでしょうか……?

さらに注意は以下のように続きます。


これまでの例から、「適」と判定された職種を嫌がって「準適」と判定された職種に進んだ者は苦労している者が多く、結局、退職してしまう場合も多いようです。教育隊での職種指導を十分に受けとめ、特に熱心に勧められる職種は適性面からも確実なものです。


最近は人材難なので、どんなに適性が合っていても、本人が絶対に嫌だと言えばゴリ押しはできないと民間の人事の方からも聞いたことがありますが、海上自衛隊も例にもれずその傾向があるようです。希望が通った結果、本人がやり甲斐を見出して生き生きと活躍できるのならゴネるのもありだと思いますが、結局、合わずに辞めてしまうということになってしまったのでは、それまで費やした時間も努力ももったいなさすぎますね。

入隊してからもさまざまな部隊研修があると思いますが、これから入隊を考えている方は、地本の方にお願いして体験航海や特別見学などでいろいろな先輩の話を聞かせてもらうなどして、「海上自衛隊に入りたい」という思いから、「海上自衛隊でこんなことをしたい」と、より具体的な仕事をイメージできるようになっておくといいかもしれませんね。


職種と勤務地は密接に関わっており、共に希望どおりとなることは稀です。どちらを優先するか決めておいた方がいいです。

この場合、「横須賀希望」とか「呉希望」という具体的な勤務地を考える前に、「陸上勤務」か「水上(潜水)勤務」のどちらを希望するかによって大きく変わってくるとのこと。特に最近は、地上勤務を希望する人が増えてきているそうですが、海上自衛隊の主要部隊である艦艇の乗員の員数確保のため(とにかくどの艦艇も人員不足は深刻なようです)、艦艇勤務を勧められる傾向はあるようです。

ちなみにやはり知り合いのお子さんで、横須賀を熱烈希望したけれど大湊に配属になった人や、横須賀に配属されたけれど数年後に呉を母港とする艦艇に移動になったというお子さんもいますが、どちらのケースも本人は楽しんでいる様子。(もちろん、たまに帰ってくるお子さんを迎える保護者の方は、めちゃくちゃ嬉しそうにしています。)


自分の将来を決める大切な選択です。単に、「格好が良いから」とか、「資格が取れるから」といった表面的な部分に惑わされることなく、自分の能力に合ったものから選択することが、将来において自分が成功感と満足感を味わえることにつながります。


この点についても、実際にいろんな職種の方にどのようなところに仕事のやり甲斐を感じているのか等、話を聞いたりしながら自分に合う職種をイメージできるといいかもしれませんね。

そしてもう数日後に入隊を控えている方は、これからの職種に関する説明や部隊研修に真剣に臨んでください!

もちろん、普段の教練の態度や成績も大切です。

……って、結局全部頑張らなくてはならないってことですね(笑)。

希望する職種を決めるということは(一説では、適性検査の結果、〇をつけられる職種がかなり少なかったケースもあるようですが)、己を知るということかもしれません。


甲板でヘリコプターに触れる隊員
引用元: 2019.04 ~巳月~|海上自衛隊:JAPAN MARITME PHOTOGRAHY
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